【紅葉のしくみをわかりやすく解説】どうして葉っぱが赤や黄色になるの?この秋、子どもと紅葉をとことん満喫する方法
- 2021年10月28日公開
中学高校の理科・情報教員免許をもち、インスタグラムでも「はるかの理科育児日記」を発信中の2児のママ、はるかさんに、幼児から楽しく理科分野の関心をふくらませるための身近なヒントを教えていただきます。
今回のテーマはそろそろ見られる「紅葉」です。
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急に気温が下がり、秋らしくなってきたこの頃。山や公園、街路樹などが色づいて落ち葉も見られるようになりました。
子どもとの登降園やお散歩でも、毎日見ている山や公園の木が少しずつ赤やオレンジ、黄色に変わり、その変化を話題にすることもあるのではないでしょうか。
子どもがそんな変化に気付いたら、学びのチャンス!
「どのあたりの木が赤くなってる?」「場所によって色が違うのは何でかな?」など、「きれいだね」だけでは終わらせない、「なぜ?」と子どもが考える力を育むヒントをお伝えします。
葉っぱが赤や黄色になるのはなぜ?紅葉のしくみを解説!
「どうして葉っぱの色が変わるの?」と子どもに尋ねられたら、どのように説明しますか?いざ聞かれて戸惑わないよう、紅葉のしくみをおさらいしておきましょう。
葉の色が通常は緑色である理由
子どものころに理科で習った"葉緑体(ようりょくたい)"を覚えていますか?葉の中には葉緑体があり、太陽の光と水、空気中の二酸化炭素を使って光合成を行い、酸素と養分を作っています。
葉緑体には2つの色素(色のもと)、緑色の葉緑素=クロロフィル、黄色の色素=カロチノイドの2つがあるのです。葉緑素の色が濃いので、ふだん黄色は隠れて目立ちません。
余談ですが、実は私が理科が好きになったきっかけのひとつに色素があります。葉が緑色に見えるのは、葉緑素が緑色の光だけ吸収せず反射するから、緑色に見えるんだとか。「えっどういうこと!?」ってなりませんか!私が見ている緑はその実体は緑じゃないの!?実体は何色?と子ども心に衝撃だったことを覚えています。
木は冬に向けて眠る準備を始める
紅葉は、木が冬に向けて葉を落とす前の準備です。なぜ葉を落とすのでしょうか?
冬になると乾燥して水分量が減り、気温も下がるため木の活動は弱まり十分に活動できません。そのとき葉を付けていると貴重な水分がさらに減ってしまうので、木は自身を守るために葉を落とすのです。
葉が落ちる前に何がおこる?
木が葉を落とす前になると、葉に水や養分を運ぶ管の働きが弱まります。葉と枝の間に壁を設け(離層)、葉が落ちた後に冬の厳しい寒さに耐え、葉が落ちた枝から病虫害が起こることから守ります。
モミジの色の変化
緑から黄、赤と色を変えていくモミジの葉の色の変化を例に説明します。
1.緑色から黄色へ
木が枝と葉の間に壁(離層)をつくっているときには光合成が止まり、葉の中にあったデンプンやタンパク質が減るため、緑色のもとである葉緑素が分解されます。葉緑素が消えると、緑色だったときには隠れて目立たなかった黄色の色素(カロチノイド)が見えて、まず黄色い葉になります。
2.黄色から赤色へ
その後、光合成で葉に残されていた糖類が変化してアントシアンという赤い色素になります。赤の色が濃いので、また黄色は隠れて目立たなくなります。
こうして、紅葉も終わりに近づくと木の枝と葉の間には壁(離層)ができあがり、葉は落ちます。葉の色が変わっていくときは、冬に向けて葉を落とす前に木が準備をがんばっているんですね。
葉の種類によって、もつ色素は異なります。モミジのように緑~黄~赤と変化する葉もあれば、イチョウのように緑~黄と変化して散る葉もありますね。イチョウが黄色になるのは、モミジと同じく、葉緑素が消えて黄色(カロチノイド)が目立つことによる変化です。イチョウは赤(アントシアン)が作られないので、赤くならずに散ります。また、茶色くなる葉は茶色の色素(フロバフェン)が作られることにより色が変化します。
こども解説
紅葉はね、寒い冬のあいだ木が眠るための準備なんだよ。冬の間、木は眠るために葉を落とすよ。これが落ち葉。葉があると栄養を作り続けちゃうから冬眠できないんだ。
葉を落とす前の準備で木は葉との間に壁を作るの。壁の準備中、木から葉に水がいきにくくなって、葉の緑色が消えるよ。
葉の緑色が消えたら、隠れていた黄色が見えてくるんだよ。イチョウがそうだね。モミジみたいに赤く変わる葉は、葉に残った栄養で赤色が新しく作られるから赤く見えるよ。
葉によって持ってる色のもとが違うから、色々な色に変化していくんだね。
いつ紅葉が始まる?紅葉の条件とは
紅葉は秋に始まりますが、その時期には地域差がありますよね。紅葉が始まるには条件があります。
- 昼と夜の寒暖の差が大きいこと
- 太陽の光(紫外線)にたくさんあたること
- 適度な湿気があること
目安として、最低気温が6~8度くらいまで下がり、日中は太陽がよくあたり気温が上がること。夜から明け方にかけて気温がぐっと下がることがきれいな紅葉の条件です。
そして適度な湿度が必要なので、川や湖畔などでは紅葉はよりきれいに見えます。
天気予報でそろそろ出てくる、日本列島紅葉前線
紅葉の条件には"寒暖差"が必要のため、同じ日本でも10月から12月初旬にかけて、紅葉の見ごろは時間差があります。
日本気象協会が運営するtenki.jpでは紅葉の見ごろ予想を出しています。今年は全国的に平年並みの予想。お住いの地域の見ごろを親子でチェックしてみてはいかがでしょうか。
こども解説
同じ日本でも、場所によって早く紅葉するところと、遅く紅葉するところがあるんだよ。早く紅葉するところは寒いところだね。
10月のはじめ、アメリカのワシントンに住む友人から、ワシントンは早くも紅葉が真っ盛りとメッセージをもらいました。日本だけでなく、1~3の条件を満たせば世界各地で紅葉は見られるんですね。ということは、逆に1年中寒い国や暑い国では紅葉は見られないということ。自然っておもしろいなぁ。
また、同じ地域でも、山の上の方が早く紅葉したり、同じ木や葉であっても、わずかな条件の変化により色が異なることも。そんな違いを親子で発見するのも楽しいですね。
こども解説
同じ山でも赤いところ、黄色いところ、緑のところがあるね。山の上のほうが寒いから早く紅葉するんだよ。1本の木でも場所によって葉っぱの色が違ったり、さらに1枚の葉でも赤や黄、緑と色が違うものもあるね。
それは太陽の光の当たり方が違うから。太陽がよく当たるところは赤や黄に変わる、同じ木でも影になっているところは緑が残りやすいよ。観察してみよう。
子どもと遊ぼう!落ち葉から植物を当ててみよう
登降園や公園遊びでたくさんの落ち葉を目にしますね。葉からどの植物か、お子さんとクイズをしてみるのも楽しいですよ。
イロハモミジ
葉の長さは5~7cm。私たちがモミジと呼んでいるものです。紅葉で緑~黄~赤と色がかわります。葉のふちはあらくてギザギザ。赤ちゃんの手とどっちが大きいかな?
2つ向かい合った実も特徴的。葉の周りに落ちていないかチェックしてみよう!
イチョウ
葉の幅は5~7cm。黄色くて、すじがたくさんあります。切れ込みがある葉も、ない葉もあります。
まわりに落ちている実はぎんなん。踏んでつぶれるとくさい~!でも"くさいもの"って子どもはなぜか興味持つんですよね。ぎんなんは食べることもできます。
さくら(ソメイヨシノ)
葉の長さは8~12cm。楕円形で赤や黄色。葉っぱのふちがギザギザしています。春にさくらがきれいだった木の下を探してみよう!
クヌギ
まわりに落ちているどんぐりが特徴的。大きくて丸くてもじゃもじゃ帽子をかぶっています。クヌギの葉は8~15cmと大きく、黄色くてななめにまっすぐな筋があるよ。葉のまわりはギザギザで先は針のよう。
クヌギはカブトムシやクワガタが大好きな木!夏になるとどの木がクヌギか分からなくなるので、虫好きの息子がいるわが家ではドングリで見分けがつきやすいこの時期に、来年の夏に向けて木をマークしています!
モミジバフウ
葉の長さ14~22cmと大きく、ふちが深く切れ込んで、てのひらのような形。
まわりに落ちている実のあつまり、見たことありませんか?わが家の息子は「ハリセンボンが落ちている~!」と毎年言っています。
秋の外遊びで自然を思い切り体感したい!
紅葉など、自然がとても美しい秋。
視覚はもちろん、サクサクっと音を感じながら足で落ち葉を踏みしめたり、落ち葉の山をすくって空に投げて舞わせてみたり、大きな落ち葉をちぎってお面を作ったり、銀杏の匂いをかいだり...!子どもといると落ち葉遊びは無限に広がりますね。
ぜひ家の前の街路樹からお話を広げてみてください。季節の移ろいがわかりやすい秋。今年の秋を親子で思い切り体感したいものです。
おやこのくふうは、3歳からの「まなぶ・ 運動・食べる」をはぐくむメディアです。心と脳、体、味覚などが急激に発達する3~6歳という大切な幼児後期に親として知っておきたい知育、運動、食育、習い事に関する専門性の高い情報を発信していきます。さらに、おやこで楽しめる動画の選び方や子どもクッキング、折り紙、工作などのアイデアも満載です。
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