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【連載】伐り倒した"モンスター杉"を"使える丸太"に加工して仲間にしよう!(集材編)「セルフビルド冒険の書Vol.4」@千葉県長柄町

  • 2023年01月04日更新

こんにちは、木こりの源です。

木こりでも大工でもなかった”レベル1のど素人”が、木を伐って、加工して、家を建てる!と無謀にやり始めたものだから、そりゃ大変!
師匠に怒られ、最初はボッチで、やっとできた仲間にはなじられ、失敗を積み重ね…。
5年かけてやっと完成するまでの、貴重なノウハウをここに記していきます。 

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連載4回目は、木を伐ったあと、建材に使うために丸太を回収する工程、「集材」を見ていきましょう。

倒したモンスター杉を仲間にしよう!

伐木した杉の枝を払い、幹をログハウスの柱や梁等に使いやすい長さに切り(玉切り)、伐木現場からトラックで運び出すために、道ぎわに集めることを「集材」といいます。

一見、伐木は派手で必殺技的に人目を引くのですが、木を伐る醍醐味は、地味だけどテクニックを求められる、枝払い、玉切りにあると言っても過言ではありません。

その理由はまた後で説明するとして、まずは「集材」の4ステップから紹介していきます。

「集材」のやり方は4ステップ!

「集材」の4ステップはこちら!

1.乾燥させる(半年待とう、ホトトギス)

2.枝払い(仲間にする前に枝を払う!)

3.玉切り(仲間にしやすいサイズにカット!)

4.重機で丸太を集める(「じゅもん」を使ったパワープレイ!)

1つ1つの工程を見ていきましょう。

1.乾燥させる(半年待とう、ホトトギス)

伐った木は、葉っぱをつけた状態で半年ほど寝かせると、葉っぱから水分が抜けます。葉が緑色から茶色になると、乾燥が進み、仲間にできる合図と言われています。

仲間にするには、心を入れ替えるのに半年ほど時間がかかるのです。
集材する前に、半年ほど乾燥させる理由は、下記の3つです。
・伐り倒した時より30%軽くなり、運び出しやすくなる。
・湿っていると加工しづらい。
・製材加工後に生じる「反り」や「ねじれ」を最小限に止めるため。(木材は乾燥すると反りやねじれが生じるので、この段階でできるだけ乾燥させておく)

2.枝払い(仲間にする前に枝を払う!)

木を運ぶ前に枝を切り、トゲトゲしたモンスター杉を散髪してスッキリさっぱりさせなければなりません。
この作業を「枝払い」と言います。
枝をなるべく幹の近くから切って、凸凹のない丸太を作るのがポイントです。

下から見上げると、ちょっとしか付いていないように見える枝も、地面に横たわった状態で見ると、すごい量になります。
切った枝は「チッパー」という道具でチップにしてばら撒くか焼却処分するのですが、膨大な量の枝は、まとめて積み上げるだけでも、ひと苦労…人海戦術したい作業です。

運動不足の方は、枝を積み上げると良い筋トレになると思います!

枝払い

3.玉切り(仲間にしやすいサイズにカット!)

次に、幹を仲間として連れて行きやすいサイズにカットします。
この作業は「玉切り」と言います。

ログハウスに使う丸太を作るためには、幹を3,300mm、4,300mm、6,300mmの3種類の長さで玉切りします。
太さは元(根元側)が24~26cm、末(先端側)が20cm以上あり、テーパー(先細り)が少ないものが好ましいです。

もちろんキレイな木が望ましいですが、植林杉は菌が入り「溝腐病(みぞぐされびょう)」という、幹に溝ができてその部分がフカフカになってしまっている木も多々あります。
少々腐れが入っていても、強さに問題ない程度なら仲間にしちゃいます。

玉切りは、ただ既定のサイズに切る、というものではありません。
木の太さは均一でなく、根元が広がっているので、あえて広がっていない所から切ってテーパーを少なくしたり、1本の木から2玉(丸太を2本)、3玉取れるように、頭を使いながら効率よく玉取る(丸太を切り出す)ことも重要です。
もちろん切って残った部分は薪として利用します。

玉切り

4.重機で丸太を集める(「じゅもん」を使ったパワープレイ!)

この3種類の長さの丸太を道ぎわまで集めていきます。
とは言っても、何百キロもある丸太を集材するのはめちゃくちゃ大変で、人力では不可能に近いので、人の何倍ものパワーを発揮できる「じゅもん」とも言える重機や道具の力を使います。
いや、精霊やモンスターを「しょうかん」する、が近いか!
ま~、どっちでも良いですが…。

僕達の現場は狭すぎて、さらに経済的にも高性能の林業機械は使えません。
その狭い現場の中でも、比較的広い面積で多くの木材を集材する場合は、バックフォーを、小面積・少量の木材の場合は、クレーン付きトラック等を使います。

バックフォーでの集材作業

左、クレーン付きトラック 右、バックフォー

集材した木材は、製材所にトラックで運び、設計図の柱や梁に適した形に製材(丸太の切削加工)していきます。
僕の造った家は、約90本の原木を集材して製材し、長短合わせて115本の構造材に加工していきました。

まるで武道家!?地味に見えて、レベルが上がるとめちゃカッコいい!枝払い・玉切りの醍醐味とは

枝払いや玉切りをする際、枝や幹を切っていくのですが、ただチェーンソーのガイドバー(チェーンのついているバー)を上から下へ下ろせば一刀両断って訳にはいきません。

木には必ず、上下左右に張力と圧縮がかかっています。

上に圧縮がかかっている場合は、下からチェーンソーを入れる

下に圧縮が掛かっている場合は、上からチェーンソーを入れる

圧縮側から切ると、のこ道(ガイドバーの幅で開いていく切れ目)が開いてきて、ある程度の所まで切ると、のこ道が閉じてガイドバーが挟まれ、取れなくなります。
この現象を我々は、「チェーンソーが噛まれる」と言っています。
いわば、仲間になる直前の最後の悪あがきです!

無理に取ろうとするとチェーンソーが壊れてしまうので、エンジンを止めクサビ等で、のこ道を開いて外さないといけません。

いかにチェーンソーが噛まれないように作業するかが、効率のいいレベル上げのポイントになります。
木の張力と圧縮の方向を見極め、スマートに効率よく枝払い・玉切りしていくのが、木こり作業の醍醐味!
いわば地味に鍛錬を続ける事で、「すばやさ」「会心の一撃」を身につけることができる"武道家の技"といったところ。
木にチェーンソーを噛まずに切り続けることができると、「会心の一撃」を出し続けるような快感を得ることができるかも…。

うっかり、チェーンソーを体験してみたくなってしまった方は、こちらへお問い合わせください!

今回は、ここまでで
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次回は、「製材」へ
To Be Continued

この記事を書いた人
NPO法人ふるさとネッツ理事/セルフビルドプロデューサー/木こり/移住定住コーディネータ―/長柄町TVディレクター
木こりの源

2017年より、NPO法人ふるさとネッツの理事となり、荒廃林を自ら整備して排出された杉材を使いログハウスをセルフビルド。 このノウハウを活かして、現在は東京と千葉を往復する2拠点生活を実践しながら、「セルフビルドサポーター」の資格制度を作り、多くの地方がめざす地域創生を「林業」から実現する日本初のモデルとなるべく邁進中。

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