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石川県は栓抜きになる?最高にどうでもいい問題に切り込む一冊

  • 2023年06月27日更新

丸の内線に走り勝つことができる?国語辞典の語釈通りにコロッケを作るとどうなる?などなど、WEBサイト・デイリーポータルZで連載された人気コンテンツが満載の一冊、『「ファミマ入店音」の正式タイトルは「大盛況」に決まりました。』(西村まさゆき/笠倉出版社)。今年の7月に発売されて以来、そのタイトルの長さもあいまって、ネットでも話題の一冊となっている。本書から、「今まで考えたこともなかったけど、訊かれてみれば確かに気になる!」ご当地問題を紹介しよう。

▲※画像はAmazon(http://amzn.to/2bOomsW)より

スカイツリーの影のてっぺんに登りたいとき、どうやってその場所を調べる?

「武蔵(ムサシ)」の語呂合わせで634mもの高さを誇るというスカイツリー。その頂上にのぼろうと思っても、現実には450mの位置にある「天望回廊」までしか行けない。しかし筆者は、スカイツリーの影でなら頂上に登る方法を発見した。ただ、今回紹介するのは失敗談である。

スカイツリー影の長さを求めれば、スカイツリーから影のてっぺんまでの距離が特定できると踏んだ著者。最初はその計算のため、三角関数の計算で影の長さを導きだそうとした。つまり太陽とスカイツリーの影の先端を結ぶ直線を斜辺とし、その斜辺と地上の角度を求めれば導き出せるはずだ。

しかし『天文アマチュアのための太陽観測( http://amzn.to/2bOo0m0 )』という本を読んで角度を求めようとしたところ、アマチュア向けのはずなのにその内容の意外な難解さに断念。そもそも太陽は、季節によって高度が変化する。その上、時間によっても刻一刻と変わっていくので、その角度を求めるのは、それだけで一苦労なのだ。

だが角度を求めず、影の長さも知らずとも、影のさす場所を求める簡単な方法があった。その方法とは……続きは本書でご覧いただこう。ヒントは爪楊枝、あと理科の先生である。

手元に栓抜きがないとき、石川県はその代わりに使えるのか

そもそも栓抜きが無くて石川県が手元にあるってどんな状況だよ、とツッコミを受けそうだが。筆者は小学生のころより「石川県って栓抜きみたいだな」との思いを抱き続けてきたという。

▲石川県に見え……なくもない!?

石川県は中部地方、“日本海側にボコッと飛び出した感じになっている”地域。その「ボコッ」の部分が確かに栓抜き(正確には、単体の栓抜きではなく、一般的な缶切りに付いた栓抜き部分)に見えないこともない。そこで業者に頼み、10,800円かけてステンレス銅板製の石川県型栓抜きを作成。

ただ実際に栓抜きとして利用してみようとすると、王冠のひだに引っかける予定だった七尾市の半島部分(詳しくはGoogleマップで調べてください)がなかなか引っかからず、悪戦苦闘する筆者。ようやく開けるまでに、3分も費やしたという。確かに栓抜きとして機能はしたが、実用性には乏しい結果となった。

▲こちらが栓抜き見えると言われている石川県。お分かりいただけただろうか?

しかしもの作りのイベントにてこの栓抜きを披露し、来場者に試してもらったところ、わずか10秒で栓を抜く方法が判明。その方法のヒントは、志賀町西海。正解は本書で……読む前に、Googleマップを見ればピンとくるかもしれない。

日本一短い地名の場所に旅行したいとき、どこに向かえばいい?

日本一短い市名と言えば三重県津市。ポンと思いつかなくても「聞いたことがある」と言う方は多いだろう。しかしその下の住所まで含めて短いものを調べると、出てくるものは「千葉県旭市ロ1」だと言う。ロは、漢字の口(くち)ではなく、カタカナのロ(ろ)だ。

だが、「ロ」だけではない。千葉県旭市に行くと、「イ」や「ハ」、「ニ」といった地名も存在しているとのこと。そう、旭市は、明治時代に4つの村が合併して旭町となった際、住所の大字(おおあざ)を「イロハ」でふってしまったのだ。“開墾時に「イロハ」と名前をふっていくのは、よくあることなのだが、もともと村の名前があったところをわざわざ「イロハ」に変更した理由は原因がはっきりしていない”とのこと。

では、気になるのは地域の人たちの呼び方だ。彼らは自分の住所について「私はロです」や「ニは住み心地いいですよ」などと言い合うのだろうか。しかし筆者が取材したところ、「仲町区」や「袋東」など、地元の人しか知らない地名が使われているそう。

地図にも載らない、それらの地名はいったい何なのか。そしてなぜ使われなくなってしまったのか。その理由は誰も知らない……ことはなく、本書で解説してありますので是非。

▲千葉県旭市には日本最大級の砂浜「九十九里浜」がある。

編集後記

「続きはWebで」ならぬ「続きは本書で」と、歯にものが詰まったような紹介になってしまって恐縮だ。ただ言ってみれば、本書はミステリー小説のように楽しむこともできるということである。ここで紹介を拒んだ「種明かし」部分、知ればきっと誰かに語りたくなること間違いなしだ。お子さんの夏休みの自由研究が間に合わなかったという方も、冬休みのテーマ探しにはバッチリだと思うので、いまからでも読んでみてはいかがだろうか。
(平原 学)

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